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| プロフィール |
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Author:くまさかよしと
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| 本当は見えている。 |
いったいに私の妻というのは掃除とか整理整頓とかいうのが好きで、反対に私はそういったことに無頓着ときているから上着やら鞄やら帽子やらちょっとでも雑に放っておいたりすると「信じられない」などといって機嫌を損ねてしまうわけだが、それを受けて私は「君が信じようと信じまいと現実は変わらんのだよ」とか心では思うのだけれど、わざわざそんなことを言って取り返しのつかないことにしなくてもいいだろうということで言わないでいるわけで、日々は妻によって清潔が保たれ私によって平穏が保たれているのだが、今回は人間の目についての話。 ある時お昼過ぎに用事を済ませて帰宅すると、おやまた例によって整理整頓日々の掃除を欠かさずにしておるなと一目で分かる清潔具合で、自分でやるのは遠慮するくせにこうやって帰宅して家が奇麗だとそれだけで気分が良い。いつもいつもありがたいことであるなぁ、と呑気に思いながら、いや待てよ、この雰囲気はいつもと違う、いつもよりもスッとして見えるのはなぜか、妻に聞いてみると今日は畳を水拭きしたのだという。できることなら少なくとも週に2度は水拭きまでやりたいのだそうだ。畳の水拭きなどといえば、私の了見では年に一度の大掃除であるところだが、彼女にとってはそうであるということは、私が彼女であったら週に2回も年の瀬がくることになってしまって大変だ。さておき、この畳の水拭きの効果たるやすごいもので、それをやったかやらないか、文字どおり目に見えて違い肌で感じてわかる。なんとも浄化される気分というか、汚れを払ったというような落ち着いた気持ちになるもので、きっと畳の埃が拭き取られただけのことなんであろうが、その清潔感は静かで気持ちいい。 これが妻に聞く前に、ああ、水拭きまでしたんだなと分かるようになってから思ったのが、人間の目の能力についてなんだが、つまりふだん見えていないように思う畳の埃も本当は見えていて、水拭きした部屋、掃き掃除以前の部屋、比較すればそれこそ言葉どおり一目瞭然なんだろうと。
見えないように思っているが本当は見えているものってのは、この時代もっとたくさんあるような気もする。
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